【大賞】
心まで乾燥しきった劇場でいくつかの頬だけが湿った
鶴丸高校 1年 加藤遥希
【優秀賞】
迫りくる明日の手から逃げようと立ちこぎをする夏の夕暮れ
鹿児島第一高校 1年 髙田侑衣芽
【優良賞】
タマ、僕らみたいにうまく言い訳ができない口であくびをしてる
松陽高校 1年 里山璃空
【選者賞】
(桜川冴子選)
空を見て貴方に想いを馳せるとききっと貴方は海を見ている
蒲生高校 2年 是枝美咲
(大口玲子選)
桜島フェリーの屋上今日もまた失敗丸めてポイッと捨てる
鹿児島女子高校 3年 山下里菜
(森山良太選)
ひとめぼれ信号待ちのあなた見てこころ打たれた午後六時二分
鹿児島情報高校 3年 上木原さくら
(外前田孝選)
本塁へすべりこみたい君のもと私の心すでに満塁
曽於高校 3年 四本あみ
【佳作】(5人)
濡れ髪のノートに滲む水滴の風にまぎれる塩素の匂い
蒲生高校 2年 肥後漣斗
夏の夜君に想いを伝えるとやっと聴こえる波のざわめき
南大隅高校 2年 松本健
毎朝の目覚ましのごとき牛の声作業着きがえかけぬける風
曽於高校 1年 松元孝太
恋なのか恋じゃないのかなんなのか分からないままもう卒業か
鹿児島第一高校 1年 東貴悠
おぼろげなかすむ足元照らす夜だれかのための月になりたい
武岡台養護学校 1年 谷樹里亜
【奨励賞】(9人)
甘いのに苦い夜食の父のカレー含んだ口はごめんが言えず
曽於高校 2年 黒﨑楓夏
教室で横を見るたび消火栓赤いランプがともっているよ
樟南高校 3年 谷畑瀧昇
夏の青空白い砂浜青い海すべてが君のひきたてやくだ
出水工業高校 2年 牧尾魁徒
夕方の住宅街に響いてるうちらの笑いはややくせ強め
鹿児島女子高校3年森空弥
好きですの言葉が喉に詰まっているもう炭酸で流してしまおう
曽於高校 2年 高井田真理沙
清水の景色を眺め思い出す検非違使忠明飛び下りたこと
鹿児島第一高校 2年 樋口颯太
帰宅用プレイリストをたれ流し過ぎてく景色の遠くをにらむ
鹿児島女子高校2年遠藤こはる
何もかも「効率、効率。」LED月のうさぎも見えなくなった。
鹿児島第一高校 2年 川添慶斗
1人でも着られるようになった浴衣それでも祖母に着付けてもらう
鹿児島情報高校 3年 宮島花凜
【学校賞】(2校)
鹿児島第一高校
曽於高校